小佐田先生だからこそ見ることができた
枝雀さんの横顔、素顔を描いた一冊です。
実は一度手に取って、
「紅雀さんの話、載ってる!」
そこだけ読み終わったら本棚に返してしまいました。
(すみません)
改めて、二度目。
枝雀さんの落語を体系的に分かりやすく書いてくれていますし、
それに加えて、噺にまつわるエッセイがとても楽しい
本だということが分かりました。
「枝雀らくごの舞台裏」は、
第一章で、
枝雀さんの持ちネタの変遷をまとめています。
第二章がメイン。
小佐田先生が精選された枝雀さんの落語48席について、
一席一席分かりやすく語ってくれます。
・「演目名」
・その演目が収録されたCD、DVDなど(箇条書きでコンパクト)
・噺の内容をおおまかにご紹介
・それを切り口にエッセイ。おすすめの音源など。
文章の構成は、大体こんな感じ。
※
・枝雀さんの落語を研究している人にとっては、
小佐田先生が、音源をきちんと紹介してくれていますし、
おすすめの音源や、小米時代と枝雀時代を
比べてみるのも面白い、と教えてくれている点が、
かなり有り難い内容だ思います。
(私は枝雀さんの落語を研究している訳ではないのですが、
米朝師匠以外の師匠から枝雀さんが教わった噺も幾つか載っていて、
興味深く読ませてもらいました)。
もし、私が大学のゼミの先生になって、
「枝雀さんの論文を書きました」と言う学生が居たなら、
参考文献をまっ先に見て、
この本を読んだかどうか、まずチェックしますね。
・それから、枝雀さんの落語に少しでも興味を持っている人は、
やはり、おすすめの音源が分かる、枝雀さんの人となりが知れるという点で、
かなり重宝できる本だと思います。
ネット上で色んな動画が見聞きできますが、
中には、調子が悪い時の動画が流れているのではないかなと。
(馬生さんがそうなんだから、枝雀さんもそうだろうという考え)
・枝雀さんの落語のファンの人には、
小佐田先生が、編集者から
「これまでどこにも書いていないことを書いてください」
と言われて書いた一冊だということを伝えたいです。
また、還暦を過ぎた先生が、
覚えていることを今のうちに書きとどめたい、
という切実な思いを持って記した本でもあります。
※
落語が好きな人は、
それぞれ色んな見方で落語を楽しんでいます。
だから、純粋に気軽なエッセイを読みたいと思って
この本を手にされた方は、
枝雀さんの音源について、丁寧に書かれている部分は、
(そんなに長くはないのですが)、
ちょっと読み飛ばすのではないかなと思います。
エッセイ部分は勿論面白いですし、そちらの文量の方が多いです。
ただ、今まで枝雀さんの落語を、
きちんとまとめた本は無いような気がするので、
そこは大目に見てほしいと思います。
※
読んでいて、一番胸が熱くなったのは、
やはり「幽霊(ゆうれん)の辻」のページです。
枝雀さんに台本を送って、
喫茶店でお話をして…というお話は、
落語界では、比較的有名なエピソードだと思うのですが、
改めてご本人が書いた内容というのは一味違います。
小佐田先生がその当時得た感動を、
読み手にも味わせてくれるような感覚が得られます。
やっぱり本っていいなあと思いました。
感動を共有できる最高の媒体です。
一口メモ:
枝雀さんが苦手に思っていた噺家さんについて書かれていて吃驚。
読んでナルホドと思いました。
二口メモ:
紅雀さんの内弟子時代のダスキン話がファンにとってはツボでした。
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